Mail ー 【BE BALD!】連続アラサーハゲ男小説 序章 一話

アラサーハゲ男が大都会名古屋でハゲを気にしながら恋する物語です。
記念すべき第一話は同窓会の招待状が届き葛藤する場面です。

まとめはこちら(連続ハゲ小説


名古屋でひとり暮らしを始めて以来、チラシ以外ほとんど投函されないポストにハガキが届いた。


かつてのクラスメイト全員にほぼ同時に届いたであろう、ご丁寧に往復ハガキを使ったその同窓会の報せに、

・心沸き立つリア充勢
・正直行きたくない非リア陰キャ勢

と大きく分けて2パターンのリアクションがあったのではないかと想像する。

 

オレはその2パターンのどちらにも当てはまらない、

・正直行きたくないリア充勢

という分類にあたる、特殊な存在だった。


アラサーハゲ男の生活

俺はアラサーハゲ男。

今年で30歳になる、大曽根(東京でいう日暮里)のワンルームマンションで一人暮らしをしながら、伏見(東京でいう日本橋)の中堅商社に勤めるごくごく普通のサラリーマンだ。

大学生時代は英会話サークルに所属しており、英語の勉強が好きだったこともありTOEICは入社時点で800点以上をとっていた。


昇進要件としてTOEICスコアが設けられている俺の会社では、この基準に満たず苦しんでいる同僚もいるが、俺はすでにTOEICスコアは取れている。

勤務態度は良好、営業成績も決して悪くなかったため、大台の30歳までの係長昇進を目指し日々仕事に打ち込んでいる。

傍目に見れば充実しているように見えるオレだが、人知れず(いや、うすうす周囲も感づいている)悩みがあった。


ハゲの兆候

残業も顧みず困難なプロジェクトに立ち向かうなか、体には変化が起きていた。

初めてそれが気になったのはとある土曜の朝。

経理部の悪友であり、酒豪の渡瀬と華金の夜に飲み歩き、泥酔して風呂にも入らず寝てしまった翌朝のことだった。

まくらに押されてついた寝ぐせに、くっきりと地肌が浮かび上がっていたのだ。

もともと毛量が多い方ではなかったが、見た目にはっきりと地肌が見えた瞬間の衝撃は決して小さくなかった。

他人事に思われたハゲの悩みが、自分にも訪れた。

二日酔いの気持ち悪さとともに、顔から血の気がひいた瞬間だった。


ハガキとの対面

時を戻そう。

返信用はがきには出席、欠席のチェックボックス。

そして高2時代のクラスメイト、リーダー核で野球部の主将も務めていた加納の住所氏名がプリントされていた。

ご案内面にはいかにもインスタハゲ映えしそうなレストランの写真と開催日時、日付などの要項がシンプルにまとめらえていた。

ハゲの悩みはあったものの決してハゲきっているわけではないし、自分が気にしているだけだ。

旧友とたまには会って、近況報告しながら楽しい一夜を過ごそうではないか。

そんな前向きな気持ちで出席にチェックを入れ、ポストまで足どり軽く向かった俺は、その日に起きる惨劇を想像すらしていなかった。


第二話 Departure

AGAスキンクリニック

 

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